ドッグフードは硬い粒状のドライタイプの商品ばかりではありません。
その他にもセミモイストタイプやソフトドライタイプ、ウェットタイプなどがあります。
ドライタイプは総合栄養食に分類されているので、主食としてワンちゃんに与えて下さい。
その他(ウェットタイプなど)のドッグフードはおやつやトッピング目的で与えましょう。

水分含有量による分類

ドライタイプやウェットタイプといった名称は、水分含有量に応じて種類分けをする際に使用されます。
それぞれの定義とメリット・デメリットを見ていきましょう。
ドライタイプ
ドライタイプとは、製品に含まれる水分割合が10%程度以下のドッグフードを指します。
水分含有量が13%以上ではカビが生えやすくなるため、12%以下に保つ必要があります。
そのため、ドッグフードの安全性を配慮して、大半の商品は水分含有量が10%以下になるように調整しています。
セミモイストタイプ
セミモイストタイプは製品に含まれる水分の割合が25~35%程度のフードを指します。
発泡していないフードで、品質を保持するために砂糖や防カビ剤等の添加物を使用しています。
また、水分を保持するために湿潤調整剤を使用しています。
ソフトドライタイプ
製品に含まれる水分の割合が25~35%程度のフードを指します。
上記のセミモイストフードとは異なり発泡しているフードです。
品質を保持するために酸や防カビ剤等の添加物を使用したり、水分保持のために湿潤調整剤を使用しています。

ウェットタイプ
製品に含まれる水分の割合が75%程度のフードを指します。
品質を保持するために殺菌をして、密封容器に充填します。
密封容器には缶詰やアルミトレー、レトルトパウチ等が使用されます。
参考サイト:ペットフードの製造について~ペットフード公正取引協議会~
目的別による分類

ドッグフードは与える目的毎にも分類されています。
総合栄養食
毎日の主食として与えることを目的として製造されているドッグフードのことです。
そのドッグフードと水だけで、指定された成長段階におけるワンちゃんの健康を維持することができるような栄養バランスを摂取することができます。
もちろん、各メーカーが勝手に総合栄養食と記載できるわけではありません。
商品に『総合栄養食』と記載するためには、事前に2つの試験に合格しなければいけません。
- 分析試験
- 給与試験
製品に含まれる原材料に関する分析試験の結果を施行規則の栄養基準と比較して、その栄養成分の基準をクリアしたことを証明する試験です。
実際に犬にドッグフードを与えて、総合栄養食であることを証明する試験です。
間食
主食ではなく、おやつやご褒美として限られた量を与えるために製造されているドッグフードのことです。
間食に分類されている商品の場合は、おやつやスナック、トリーツなどの記載があります。
商品には適切な栄養量を摂取するために給与回数や給与限度量の表示、あるいは主食での給与量の調整が必要であることなどが記載されています。
療法食
ワンちゃんが患った病気の治療を補助するために製造されているドッグフードのことです。
治療内容に合わせて栄養成分の量や配合比率が調整されています。
獣医師の指導に基づいて食事管理に使用されるので、療法食を購入する場合は担当の獣医師に相談することをおすすめします。
その他
上記のいずれにも分類されないドッグフードも存在します。
例えば、副食や一般食、おかず、栄養補助食と記載されている商品が多いです。
副食や一般食、おかずと記載されているドッグフードは嗜好増進等の目的で製造されています。
一方の栄養補助食は、サプリメントタイプのドッグフードが該当します。
参考サイト:ペットフードの種類~ペットフード協会~
ドライタイプのメリット・デメリット

ドライタイプのドッグフードに関するメリット・デメリットは下記のとおりです。
メリット
- 栄養バランスに優れている
- 歯垢が付きにくい
- 保存期間が長い
栄養バランスに優れている
ドライタイプのドッグフードは総合栄養食として販売されている商品が大半です。
栄養バランスに優れていて、ドライタイプのドッグフードだけでワンちゃんに必要な栄養がまかなえます。
歯垢が付きにくい
セミモイストフードやウェットフードなどと比較して水分含有量が少ないので、歯垢が付きにくいです。
ドライタイプのドッグフードを噛むことによって、歯に付いている歯垢が擦り落とされます。
また、硬い粒状になっているため、噛み砕くことでアゴが鍛えられるメリットもあります。
保存期間が長い
水分含有量が少ないため、賞味期間が長く設定されています。
無添加のドッグフードでも開封後1ヶ月程度は大丈夫なので、保存しやすいです。

デメリット
- 食いつきが悪いことがある
- 水分が取れない
- 歯が悪い犬・老犬には不向き
食いつきが悪いことがある
乾燥しているためニオイがあまりなく、食いつきが悪くなるワンちゃんもいます。
その場合は他のドッグフードに替えてみるのも一つの方法です。
例えば今までチキンがメイン原料だったものを、ラムがメイン原料のドッグフードに替えるだけで食いつくようになるケースがあります。
もう一つの方法は、ドッグフードを与えてから10分ほど経過した頃に、食べていなくても下げてしまう方法です。

水分が取れない
ドライタイプのドッグフードは乾燥しているため、水分が不足しています。
普段からドッグフードしか口にしないワンちゃんの場合には便秘になったり、脱水症状を起こす恐れがあります。
そのため、水はいつでも飲める場所に置いておいてあげましょう。
歯が悪い犬・老犬には不向き
ドライタイプは硬い粒状のドッグフードなので、歯が悪いワンちゃんや老齢で硬いドッグフードが苦手になっているワンちゃんには不向きです。
そのような場合はそのまま与えるのではなく、白湯などの水分を加えてふやかせてあげましょう。
数分放置しておくと、熱が冷めてふやけて食べやすくなります。
ウェットタイプのメリット・デメリット

ウェットタイプのドッグフードに関するメリット・デメリットは下記のとおりです。
メリット
- 嗜好性が高い
- 消化に良い
- 歯が悪い犬や老犬でも食べやすい
- 未開封時の賞味期限が長い
嗜好性が高い
ドライタイプのドッグフードよりも水分量が多いのでニオイを発しやすく、食いつきが良いです。
例えば食欲が落ちて元気がないワンちゃんに与えると、しっかりと食べてくれることが多いですね。
消化に良い
水分が含まれているので、ドライタイプよりも消化しやすく、消化器官が弱っているワンちゃんでも安心です。
また、ウェットタイプのドッグフードを食べるだけで、水分もしっかり摂取することができます。
歯が悪い犬や老犬でも食べやすい
柔らかい商品が多いので、歯が悪いワンちゃんや高齢で噛む力が弱くなっているワンちゃんでも食べやすいです。
ドライタイプのドッグフードをふやかすのも一つの方法ですが、たまにウェットタイプのドッグフードを与えると喜ぶと思います。
未開封時の賞味期限が長い
密封状態でパッケージングされて販売されているので、開封しない限りは1年~2年ほどの賞味期限に設定されている商品が多いです。
但し、開封してしまうと酸化が始まるので、できるだけ早期に与えて下さい。
デメリット
- 栄養バランスが悪い
- 保存料・添加物が多い
- 歯垢がつきやすい
- 価格が高い
栄養バランスが悪い
大半のウェットタイプのドッグフードは『一般食』に分類されていて、栄養バランスが悪い(偏っている)です。
ウェットタイプのドッグフードだけを与え続けていると、必要な全ての栄養を摂取することはできません。
そのため、ワンちゃんの健康のためには『総合栄養食』に分類されているドライタイプのドッグフードを併用することを検討して下さい。
保存料・添加物が多い
ウェットタイプのドッグフードは新鮮さを演出するために着色料や発色剤を使用している商品が多いです。
肉類や野菜などは火を通す(煮込む)ことで新鮮さがなくなっていくため、それを補うために使用されます。
また、増粘多糖類(増粘剤)を使用している商品も多いです。
増粘多糖類はネバリやとろみなどを出す目的で使用されます。

歯垢がつきやすい
ドライタイプのドッグフードと比較して水分量が多いので、食べカスが歯にこびりついて歯垢は発生しやすくなります。
また、増粘剤の作用によって、より歯にまとわりつきやすくなります。
そのまま放置しておくと歯石になって、歯周病や歯槽膿漏の原因となるので気を付けましょう。
歯垢・歯石予防のためにも、ウェットタイプのドッグフードを与える場合は毎日の歯磨きは必須です。
価格が高い
ウェットタイプのドッグフードは、ドライタイプよりも高額商品が多いです。(※グラムあたりの価価格比較です)
上述しているとおり、ウェットタイプは栄養バランスが偏っているので、ワンちゃんの健康を考えるとドライタイプとの併用が基本になり、さらに費用がかかることになります。
金銭的な負担を軽くしたいのであれば、ドライタイプのドッグフードをメインにしましょう。
メインはドライタイプ、サブでウェットタイプなど

今回紹介してきた各タイプのメリット・デメリットを考慮すると、やはりドライタイプのドッグフードをメインにすることをおすすめします。
ドライタイプのドッグフードは総合栄養食に分類されているため、そのドッグフードだけでワンちゃんに必要な全ての栄養が補えます。
また、他のタイプ(ウェットタイプなど)のドッグフードよりもコスパが良いので、金銭的な負担も軽いです。
混ぜ合わせるのもおすすめ
もしかしたら「ドライタイプのドッグフードだけでは味気なくて可愛そう・・・」だと思うかもしれません。
その場合はウェットタイプやセミモイストタイプなどのドッグフードは、おやつ目的やトッピングとして与えると良いです。
トッピングする場合は、ドライタイプのドッグフードにしっかりと混ぜ合わせるようにしましょう。
ウェットタイプのドッグフードをドライタイプの上にのせてしまうと、ウェットタイプのドッグフードしか食べない場合があるためです。
